「マーケターに興味はあるけれど、結局どんな仕事なのかイメージしづらい」 「AIやSNSのトレンドが変わるたびに、必要なスキルも変わっていて不安…」
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
2025年のマーケティングは、生成AI・クッキーレス・SNS・動画コマースなど、かつてないスピードで環境が変化しています。
しかし、一つだけ誤解しないでいただきたいことがあります。それは、「最新ツールをすべて使いこなせる=優秀なマーケター」ではないということです。
実は、AIが進化すればするほど、逆に価値が高まっているのは「顧客を深く理解する力」や「ビジネス全体を設計する力」といった、より人間的なスキルです。
本記事では、AI時代におけるマーケターの「リアル」を体系的に整理しました。
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2025年時点のマーケターの最新動向
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これからも価値が落ちない「コアスキル」
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未経験からマーケターを目指すための「具体的ステップ」
これからマーケターを目指す方も、キャリアを再構築したい現役の方も、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 2025年、マーケターを取り巻く最新動向
1-1. DXとAI活用の加速
2025年の現場において、AI活用はすでに「当たり前」のインフラになりつつあります。
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広告運用の自動最適化(入札調整、ターゲット選定の自動化)
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生成AIによるクリエイティブ制作(コピー案・バナー案・LP構成のたたき台作成)
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検索体験の変化への対応(検索エンジンだけでなく、ChatGPT等のAIチャットからの流入を意識する「GEO/AIO」の視点)
ポイントは、AIはマーケターの仕事を奪うのではなく、「単純作業を減らしてくれる相棒」だということです。
その分、マーケターには「戦略立案」「顧客理解」「社内外の合意形成」といった、人間にしかできない本質的な役割に集中することが求められています。
1-2. プライバシー強化とファーストパーティデータの重要性
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サードパーティクッキーの規制強化(Web上の追跡技術)の規制強化
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個人情報保護法やGDPRなど、各国・各地域での法規制強化
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ブラウザやOSレベルでのトラッキング制限
こうした流れから、「とりあえずWeb上の行動を追跡して広告を出す」手法は通用しなくなっています。
代わって重要になっているのが、ファーストパーティデータ(企業が自社で直接集めた顧客データ)の活用です。
「データが取れないから何もできない」と嘆くのではなく、「自社で顧客と直接つながり、信頼関係(エンゲージメント)をどう築くか」を設計できる人材が評価される時代です。
1-3. SNS・コミュニティマーケティングの台頭
日本では2025年現在、LINE・YouTube・X(Twitter)・Instagram・TikTokといった主要SNSの利用が高水準で推移しており、特に若年層ではTikTokがブランド認知・購買行動に与える影響力を急速に高めています。
「縦型ショート動画」が購買行動の起点となっているなどの変化も見られます。
トレンドのポイントは以下の通りです。
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“フォロワー数”より“コミュニティの濃さ”が重視される
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ショート動画・ライブ配信・UGCを組み合わせた「ショッパーテインメント」型の購買体験
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Threadsや新興プラットフォームも含めたマルチチャネル展開
マーケターには、「とりあえずSNSアカウントを運用する人」ではなく、ブランドのコミュニティを設計し、ファンを増やすプロデューサーとしての視点が求められます。
1-4. 「狩猟型」から「農耕型」へ(LTV志向へのシフト)
新規顧客を獲って終わり(狩猟型)ではなく、LTV(顧客生涯価値=一人の顧客が長期的に企業にもたらす利益)を最大化する「農耕型」の発想が主流です。
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サブスクリプションモデルの設計
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会員プログラムやCRM(顧客関係管理)の強化
マーケターは「集客担当」から、「獲得〜育成〜継続〜ファン化までの全体設計図を描く建築家」のような役割へと変化しています。
2. マーケターの役割の変化
マーケターと一口に言っても、その役割は多岐にわたります。主なタイプを整理しました。
2-1. 主なマーケターのタイプとミッション
| タイプ | 主なミッション | 関わる業務例 |
|---|---|---|
| インハウスマーケター | 自社事業の成長・ブランド構築 | 戦略立案、KPI設計、施策全体統括 |
| 広告代理店/コンサル | クライアントの課題解決・ROI最大化 | プロモーション企画、運用型広告、レポーティング |
| プロダクト/グロースマーケ | プロダクトの利用拡大・定着 | アプリ内施策、ABテスト、オンボーディング設計 |
| コンテンツ/コミュニティマーケ | ファンづくりと関係構築 | メディア運営、SNS、イベント、UGC施策 |
どのタイプであっても共通して求められるのは、 「数字(データ)を追うだけでなく、その向こうにいる『顧客の感情』を理解していること」です。
3. これからも価値が落ちないマーケターの必須スキル
ツールが変わっても陳腐化しない、ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)です。
3-1. デジタルマーケティングの基礎知識
最低限、以下の仕組みや用語は押さえておきましょう。
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SEO / コンテンツマーケティング
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運用型広告(検索 / ディスプレイ / SNS)
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CRM施策(メール・LINE・アプリ通知)
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基本指標の理解(CTR, CVR, CPA, ROASなど)
+αで差がつくポイント:
「Google広告の管理画面を触ったことがある」など、一次情報としての操作経験があることは強みになります。
3-2. データ分析・ツール活用能力
「SQLでコードが書けなければダメ」というわけではありませんが、「数字へのアレルギー」は克服する必要があります。
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GA4(Google Analytics 4)などの解析ツール
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Excel / スプレッドシートでの集計・ピボットテーブル作成
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「仮説検証」のサイクル: 施策前に仮説を立て、実行後に数字で検証し、ネクストアクションを決める力。
3-3. ビジネス・戦略思考
マーケティングは「目立つ広告を作る仕事」ではなく、**「売れる仕組みを作る仕事」**です。
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4P / STP分析 / 3C分析 などのフレームワーク
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ビジネスモデルの理解(どこで収益が生まれているか)
「なぜこの施策をやるのか?」を、経営視点と顧客視点の両方から説明できるロジックが求められます。
3-4. コミュニケーション・プロジェクトマネジメント
マーケターは、営業・開発・デザイン・経営層など、多くの関係者を巻き込む**「ハブ(連結点)」**となる職種です。
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相手(デザイナー、エンジニア、上司)に合わせて言葉を選ぶ力
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スケジュールを引き、プロジェクトを完遂させる推進力
3-5. クリエイティブ思考とストーリーテリング
AIがコピーや画像を生成できる時代だからこそ、「選ぶ力」と「文脈を作る力」が問われます。
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「誰に」「どんな感情になってほしいか」を設計する
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AIが出した案を、ブランドのトーン&マナーに合わせて修正する
3-6. AIリテラシーと“AI協働力”
「AIを使う」だけでなく、「AIにどう指示を出せば最高のアウトプットが出るか」を知っていること。
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適切なプロンプトエンジニアリング
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リサーチやデータ要約でのAI活用
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AIのリスク(著作権やハルシネーション)の理解
4. 未経験からマーケターを目指すステップ
ステップ1:基礎知識を体系的にインプットする
まずは全体像をつかみます。
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マーケティングの入門書を数冊読む
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オンライン講座で体系的に学ぶ
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目標: 「4P」「STP」を使って、好きな企業の分析ができるレベルになる。
ステップ2:デジタル&データの“最低限”を押さえる
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Google広告やMeta広告(Facebook/Instagram)の認定資格などを活用して基礎を学ぶ
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Excel/スプレッドシートでグラフ作成や関数(VLOOKUPなど)に慣れる
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目標: 「CPA」「CVR」などの用語を使って施策の話ができるようになる。
ステップ3:小さくても“実践経験”を作る(重要!)
座学だけでは身につきません。「自分で数字を動かした経験」が最強の武器です。
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友人のビジネスや家業のSNS・サイト改善を手伝う
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自分のブログやSNSを運用し、PDCAを回す(「フォロワーを100人増やすために何をしたか」を記録する)
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目標: 面接で「課題→仮説→実行→結果」のエピソードを話せるようにする。
実際に筆者はこのサイトを実験台に使っています。
ステップ4:キャリア戦略とポートフォリオ作成
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職務経歴書に加え、「ポートフォリオ(実績集)」を作成する(ブログのPV推移や、SNSの改善記録など)。
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インハウスか代理店か、自分の志向(事業に深く関わりたいか、専門スキルを磨きたいか)に合わせて応募先を選定する。
ステップ5:継続的なアップデート
マーケティングの世界は情報の鮮度が命です。
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ニュースメディア、X(Twitter)、noteなどで最新情報をキャッチアップする
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勉強会やコミュニティに参加し、横のつながりを作る
5. これからのマーケターに求められる4つのマインドセット
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継続学習の習慣化(Update)
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昨日の正解が今日の不正解になる世界を楽しめるか。
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失敗から学ぶ実験精神(Try & Error)
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完璧を目指さず、「小さく試して、早く失敗し、修正する」サイクルを回せるか。
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顧客中心思考(Customer First)
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数字の裏側にいる「人間」への想像力を失わないこと。
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論理と創造性のバランス(Logic & Magic)
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データを読み解く「左脳」と、人の心を動かす「右脳」を行き来する柔軟性。
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AI時代でも“選ばれるマーケター”とは
2025年のマーケターは、AI・データ・プライバシー・SNSなど多くの要素を扱う総合職のようになっています。
しかし、本質は変わりません。 「誰に、どんな価値を、どう届けるか」
この問いに向き合い続け、テクノロジーを手段として使いこなせる人は、どんなに環境が変わっても必要とされ続けます。 「ツールに使われる」のではなく、「ビジネスを成長させる戦略パートナー」として。
本記事を参考に、ぜひご自身のキャリアの一歩を踏み出してみてください。