目次
- 1 SNSマーケティングで成果を出すには「まず選び方」から
- 2 主要SNSの特徴を一枚で整理
- 3 X(旧Twitter):リアルタイム性と拡散力を活かす
- 4 Instagram:世界観づくりと「指名買い」に強い
- 5 Facebook:コミュニティと既存顧客向けの情報発信に
- 6 TikTok:ショート動画で一気に認知を取りにいく
- 7 LinkedIn:BtoB・採用・専門性訴求に強い
- 8 その他のSNS:自社のターゲットに合わせて選択する
- 9 SNS選定の基本は「ターゲット × 目的 × コンテンツ」
- 10 SNSをマーケティング戦略に組み込むときのポイント
- 11 法規制・ガイドラインへの最低限の目配りも忘れずに
- 12 すべてのSNSに手を出すのではなく「勝ち筋」を決める
SNSマーケティングで成果を出すには「まず選び方」から
SNSは、いまや企業のマーケティングに欠かせないチャネルになりました。
一方で、
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「とりあえず全部のSNSを始めたが、どれも中途半端」
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「SNS担当になったけれど、どの媒体に力を入れるべきかわからない」
という声も少なくありません。
本記事では、主要SNSの特徴・ユーザー層・得意な目的を整理しながら、企業がSNSを選び、活用していく際のポイントを解説します。
主要SNSの特徴を一枚で整理
まずは、代表的なSNSをざっくり比較してみます。
| SNS名 | 主なユーザー層・利用シーン | 得意な目的 | 向いている企業・商材イメージ |
|---|---|---|---|
| X(旧Twitter) | 幅広い年齢層。ニュース・時事ネタ・推し活などリアルタイム情報 | 認知拡大・話題化・キャンペーン | BtoC全般、IT・メディア、ゲーム、エンタメ |
| 10〜40代。ビジュアル重視・ライフスタイル・美容・グルメ | ブランド構築・購買喚起 | 美容・コスメ・アパレル・飲食・旅行 | |
| 30〜50代、ビジネスパーソン・地域コミュニティ | 既存顧客との関係維持・情報発信 | BtoB、士業、教室・スクール、地域ビジネス | |
| TikTok | 10〜30代。短尺動画・エンタメ・音楽・トレンド | 認知拡大・若年層への浸透 | 若年層向け商材、D2C、アプリ、飲食など |
| ビジネスパーソン・経営層 | 採用・BtoBリード獲得・ブランディング | BtoBサービス・SaaS・人材関連 | |
| Threads / Pinterest など | テキストコミュニティ/アイデア収集・ビジュアル検索 | ニッチな関心層へのアプローチ | クリエイティブ、デザイン、ライフスタイル |
ここからは、主要SNSごとにもう少し掘り下げていきます。
X(旧Twitter):リアルタイム性と拡散力を活かす
特徴
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テキスト中心のSNSで、リアルタイム性と情報の速さが大きな特徴
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ハッシュタグや引用リポストによって、情報が一気に拡散しやすい
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ニュース、時事ネタ、キャンペーン、推し活など「今、この瞬間」が話題になりやすい
マーケティングでの主な活用シーン
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ハッシュタグキャンペーン(例:フォロー&リポストでプレゼント)
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新商品リリース情報やキャンペーン情報の告知
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自社サイトの記事・プレスリリースへの導線作り
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ユーザーの声(UGC)の収集・紹介
向いている目的・KPIのイメージ
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認知拡大(インプレッション、リーチ)
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話題化(ハッシュタグの投稿数、エンゲージメント)
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サイト流入(リンククリック数)
運用のコツ・注意点
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1投稿あたりの情報量は絞る(伝えたいことは1メッセージに)
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画像・動画を組み合わせることでタイムライン上で目立ちやすくなる
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企業アカウントとして、炎上・不適切表現には細心の注意を払う
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公式キャンペーンやインフルエンサープロモーションでは、
「#PR」「広告」「タイアップ」など、広告であることが分かる表記を行う(いわゆるステルスマーケティング規制への対応が重要)
Instagram:世界観づくりと「指名買い」に強い
特徴
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写真・動画が中心のビジュアルSNS
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ストーリーズ・リール・フィード・ショップ機能など、タッチポイントが豊富
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「おしゃれ」「映える」世界観を作れるブランドが強い
マーケティングでの主な活用シーン
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ブランドイメージの訴求(ビジュアルで世界観を伝える)
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商品・サービスの利用シーン紹介(Before/After、レビュー)
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リール動画を使ったショート動画マーケティング
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Instagramショッピングと連携したEC・店舗集客
向いている目的・KPIのイメージ
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ブランド認知(リーチ、保存数、フォロワー数)
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購買への貢献(プロフィールリンクやショップ経由のCV)
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ファン化(メンション、UGC投稿数)
運用のコツ・注意点
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クリエイティブ品質(写真・動画のクオリティ)が成果を大きく左右する
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フィード:世界観重視、ストーリーズ:リアル・日常の発信、と役割分担をする
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投稿のトンマナやテーマをある程度テンプレート化しておくと、継続運用しやすい
Facebook:コミュニティと既存顧客向けの情報発信に
特徴
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30〜50代の利用が多く、リアルな人間関係・コミュニティと相性がよい
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Facebookページやグループ、イベント機能など、コミュニティ形成に向いた機能が多い
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広告マネージャーを使ったターゲティング広告の精度が高い
マーケティングでの主な活用シーン
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既存顧客向けの情報発信(ニュースレター代わり)
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セミナーやウェビナー、イベントの告知・集客
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コミュニティ運営(ファンクラブ、OB・OG会、会員組織など)
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BtoB向けのリード獲得広告(ホワイトペーパー・資料DLなど)
向いている目的・KPIのイメージ
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既存顧客のエンゲージメント(投稿への反応、イベント参加)
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リード獲得(フォーム送信数、資料DL数)
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広告によるコンバージョン(コンバージョン数・CPA)
運用のコツ・注意点
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個人アカウントの利用頻度が下がっているユーザーも多いため、
Facebookだけに依存せず他チャネルと組み合わせることが重要 -
プライバシー設定やコメント管理の運用ルールを事前に決めておく
TikTok:ショート動画で一気に認知を取りにいく
特徴
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縦型・ショート動画中心のSNS
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「レコメンド(おすすめ)」による拡散力が強く、フォロワーが少なくてもバズる可能性がある
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音楽・ダンス・エンタメ系に強いが、近年はハウツーやビジネス系コンテンツも増加
マーケティングでの主な活用シーン
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若年層向け商品の認知獲得
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ブランドの「人柄」や裏側を伝えるコンテンツ
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インフルエンサーとのコラボレーション動画
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ショート動画広告(In-Feed広告など)
運用のコツ・注意点
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テレビCMのような完成度より、「ラフだけど親しみやすい」コンテンツが好まれる
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1本の動画で売り込みすぎず、シリーズでストーリーをつくる
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社内に出演者がいると継続しやすい(顔出しが難しい場合は手元・モノ撮り中心でもOK)
LinkedIn:BtoB・採用・専門性訴求に強い
特徴
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ビジネスパーソン向けのSNSで、職歴やスキル、企業ページが充実
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BtoBマーケティング・採用・ブランディングと相性が良い
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日本ではまだ普及の伸び途中だが、**「ビジネス目的でつながる場」**として認識されつつある
マーケティングでの主な活用シーン
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BtoB商材の認知拡大・リード獲得
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代表・社員による専門的な発信(ナレッジ・コラム)
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採用広報(社員インタビュー、カルチャー紹介)
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海外市場向けの発信
運用のコツ・注意点
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会社ページだけでなく、個人アカウント(経営者・キーパーソン)の発信も重要
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記事・レポート・ホワイトペーパーと連動させて、リード獲得につなげる設計を行う
その他のSNS:自社のターゲットに合わせて選択する
Threads
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Instagramアカウントと連携して使えるテキストコミュニケーションSNS
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よりフラットで「ゆるい会話」が行われやすく、コミュニティづくりや雑談的な情報発信に向いている
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画像・アイデアを「ピン」して保存するアイデア収集プラットフォーム
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インテリア、ファッション、レシピ、ハンドメイドなど、「検討前段階のインスピレーション」用途が中心
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クリエイティブ業界やECサイトとの相性が良い
Snapchat など
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一部の若年層では依然人気だが、日本ではメインチャネルとする企業は限定的
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グローバル展開や特定国向けマーケティングを行う場合に検討余地あり
SNS選定の基本は「ターゲット × 目的 × コンテンツ」
すべてのSNSに手を出す必要はありません。
まずは、次の3つの観点で整理してみるのがおすすめです。
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ターゲット
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年齢層/性別
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BtoBかBtoCか
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どんな情報をどこで集めていそうか
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目的(KGI/KPI)
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認知拡大
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サイト流入
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問い合わせ・購入
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採用・ブランディング
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自社が継続できるコンテンツ
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テキスト中心なら:X(旧Twitter)、Threads
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写真・動画中心なら:Instagram、TikTok、Pinterest
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ビジネス知見・レポートなら:LinkedIn、Facebook
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この3つを掛け合わせると、
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BtoC × 若年層 × 動画に強い → TikTok・Instagramリール
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BtoB × リード獲得 × ホワイトペーパー → LinkedIn・Facebook広告
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幅広い層への認知 × テキスト情報 → X(旧Twitter)
といったように、優先すべき媒体がかなり絞られてきます。
SNSをマーケティング戦略に組み込むときのポイント
① カスタマージャーニーのどの段階を担うのか決める
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認知:TikTok・X・Instagramリールなど
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興味・比較検討:Instagramフィード・Pinterest・ブログ・オウンドメディア
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購入・問い合わせ:LP・ECサイト・問い合わせフォーム
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ファン化:Instagram・Facebookグループ・コミュニティ施策
SNSは「すべてを1つで完結させる」ものではなく、ジャーニーの一部を担当させる設計にするのがおすすめです。
② 「運用体制」と「コンテンツの型」を決める
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投稿頻度(例:週3本・平日のみなど)
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担当者の役割分担(企画・撮影・編集・投稿・レポート)
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コンテンツの型
例)-
月曜:商品紹介
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水曜:お役立ちTIPS
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金曜:裏側・ストーリー
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型を決めておくことで、ネタ出しに悩みにくくなります。
③ 効果測定と改善のサイクルを回す
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月次でインプレッション、エンゲージメント、フォロワー推移、サイト流入、CV数などをチェック
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「反応の良かった投稿」の共通点を分析し、次の企画に反映
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媒体ごとに「KPIダッシュボード」をつくり、上層部と会話しやすくしておく
必要に応じて、
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SNS管理ツール
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分析ツール
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予約投稿ツール
などを活用すると、少人数で複数SNSを回すことも可能になります。
法規制・ガイドラインへの最低限の目配りも忘れずに
SNSマーケティングを行ううえでは、
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景品表示法(キャンペーンの景品や訴求内容)
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ステルスマーケティング規制(広告であることを隠したPR)
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個人情報保護法(キャンペーンでの情報取得)
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各SNSプラットフォームの利用規約・広告ポリシー
といったコンプライアンス面の配慮も重要です。
特にインフルエンサーとのタイアップやUGC活用では、
「広告・PRであることがユーザーに分かる表示」
を徹底し、グレーゾーンな施策は法務・専門家と相談しながら進めることをおすすめします。
すべてのSNSに手を出すのではなく「勝ち筋」を決める
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主要SNSはそれぞれユーザー層・得意な目的・求められるコンテンツが異なる
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自社のターゲット・目的・作れるコンテンツから、優先するSNSを2〜3つに絞る
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カスタマージャーニーの中で、SNSが担う役割を明確にする
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ツール活用・テンプレ化で運用負荷を抑えながら、継続的に改善する
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法規制やプラットフォームのガイドラインにも目を配る
「なんとなく全部やる」SNS運用から一歩抜け出し、
戦略×マーケティングの視点でSNSを設計することが、成果につながる近道です。