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全ての企業が避けて通れないCookie規制問題 | CDPは救世主足り得るか

参考

CDP活用のための人材育成やデータ利活用プロジェクトの推進など、
もっと深く学びたい方はこちら書籍がお薦めです。

全ての企業が避けて通れないCookie規制問題とは

Cookie規制とはGoogleやFacebookなど世界有数のデジタル広告企業が定めた、

第三者によるCookieの利用を制限するルールのことです。

この規制はユーザーのプライバシーを保護するために設けられたものです。

その結果、企業はデジタル広告戦略を最適化するために顧客データを収集する別の方法を模索するようになりました。

このため顧客データはポストクッキーの時代における消費者データの唯一の信頼できる情報源として、ますます重要性を増しているのです。

そこで2023年現在、世界最大手のデジタル広告企業は来るべきコンプライアンス規制への対応とデジタルデータ戦略の最適化のためにCDP(カスタマーデータプラットフォーム)の活用を積極的に推進しています。

今回はCDPとは何か、何故顧客データの重要性が高まっているのか、

CDPとデータウェアハウスの違い、

そして日本企業におけるCDP活用の課題と対策について解説します。

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは?

CDP(Customer Data Platform)は顧客データを収集、統合、管理、分析、活用するためのプラットフォームです。

顧客データを一元管理することで、マーケティング活動やカスタマーエクスペリエンスの向上に役立ちます。

ポイント

Webサイトやモバイルアプリからの収集データ、CRMシステム、その他の外部データソースなどから収集した顧客データを統合し、360度の顧客プロファイルを作成します。

これによりターゲティング、パーソナライズ、アクションの自動化などが可能となり、

どの製品をいつ、誰に、どのキャンペーンをどのように実施するかなど、

より良い情報に基づいた意思決定を行うことが出来るようになります。

DWH(データウェアハウス)との違い

CDPとDWH(Data Warehouse)は、どちらもデータを収集、統合、管理するためのプラットフォームですが、その目的や対象となるデータに違いがあります。

CDPは、顧客データを一元管理することで、マーケティング活動やカスタマーエクスペリエンスの向上に役立つプラットフォームです。
CDPは、Webサイトやモバイルアプリからの収集データ、CRMシステム、その他の外部データソースなどから収集した顧客データを統合し、360度の顧客プロファイルを作成します。

DWHは、ビジネスにおいて分析に使用するために、大量のデータを収集し、統合し、整理し、保存するためのプラットフォームです。
DWHは、業務に関連するデータを統合し、管理することで、問題解決や戦略立てに役立つインサイトを提供します。

CDPは顧客データを中心にしていて、マーケティングやカスタマーエクスペリエンスを改善することを目的に設計されているのに対し、

DWHはビジネスに関連するデータを中心にしていて、分析に用いることを目的に設計されています。

CDP活用イメージ

以下のようにCDPを活用することで顧客の属性や行動データを把握し、

ターゲティング、パーソナライズ、アクションの自動化などが可能になり、顧客とのより良いコミュニケーションを実現することができます。

ターゲティング

顧客データを統合し、顧客の属性や行動データを分析し、ターゲットとなる顧客に対して適切なマーケティングメッセージを配信することができます。

パーソナライズ

顧客の行動データを分析し、個々の顧客に合わせたカスタマーエクスペリエンスを提供することができます。

オンライン・オフラインのデータ統合

オンライン・オフラインのデータを統合し、顧客の行動データを把握し、購買傾向を把握することができます。

カスタマーサポートの強化

顧客データを統合し、顧客の属性や行動データを把握することで、カスタマーサポートの強化が可能です。

日本企業におけるCDP事例

NTTドコモ

NTTドコモはCDPを活用して顧客の動向や行動を分析し、

ターゲットに合ったプッシュ通知や広告を配信することで顧客のエンゲージメントを改善するために使用しています。

具体的には顧客の使用状況や契約内容などのデータを統合し、顧客のニーズや興味に合ったコンテンツを提供することで、

顧客のエンゲージメントを高めることを目的にCDPを活用しているようです。

これにより顧客は自分に適した情報を受け取りやすくなり、

顧客に合ったサービスやプロモーションを提供することで、

顧客満足度を高めることができると考えられます。

日本航空

日本航空はCDPを活用して顧客の予約や旅行データを統合し、

顧客のニーズに合わせたサービスを提供することで顧客満足度の向上を図っています。

顧客の予約データや旅行データをCDPに収集し、統合し、分析することで

顧客のニーズや旅行傾向を把握します。

そしてそのデータをもとに、顧客に合わせたサービスを提供します。

例えば、顧客が多く利用するルートに応じてそのルートに特化したサービスを提供することで、

顧客にとって魅力的な旅行体験を提供することができます。

また顧客の予約傾向から、顧客に合わせたプロモーションを提供することで顧客満足度を向上させることができます。

このように日本航空はCDPを活用して、顧客のニーズや旅行傾向を把握し、

顧客に合わせたサービスを提供していると考えられます。

CDP活用における課題と対策

日本企業がCDPを活用する際の最大の課題は、リソースとノウハウの不足が挙げられます。

日本ではCDPが比較的新しいためCDPに馴染みがなく、

どのように始めればいいのか分からないという企業がまだまだ多いというのが実情です。

この課題に対処するためには企業は研修や教育プログラムに投資し、

従業員が最新の技術を習得できるようにする必要があります。

さらに、CDPの取り組みを成功させるためには、

CDPソフトウェアやデータプラットフォームなど、適切なツールに投資することが重要です。

Cookie問題を解決するのか

顧客データを統合し、プライバシーを保護するために必要な個人情報の除去や暗号化などの機能を提供することが出来るため、

CDPはCookie規制に対応するための方法の1つとなり得ることは間違いありません。

ただし、CDPが問題を完全に解決するとは言えないでしょう。

規制に適合するためには、法的なアドバイスやプライバシー戦略の策定などが不可欠です。

特に3rd party dataの取り扱いや国境を越える場合は更なる注意が必要です。

まとめ

CDPはポストCookie時代において急速に避けて通れない存在になりつつあります。

CDPの活用にはまだ多くの課題が残りますが、

適切なツールと教育によってまだ見ぬ顧客インサイトの発掘及びCX体験の提供を実現していく余地があります。

CDPをより深く理解し、適切なリソースに投資することで企業はデータを最大限に活用し、

デジタル広告の展望におけるいかなる変化にも対応していかなければなりません。

参考

CDPを活用するために必要な人材、プロジェクト、組織に関する一冊です。

本書はCDPを活用して顧客データを効率的に管理することで、マーケティングのパフォーマンスを向上させる方法を解説しています。

その他、CDP活用に必要な人材やプロジェクト、組織に関するトピックについても事例を通じて分かりやすく説明されています。